INDA・SMIN 株価低迷続く。人口ボーナス神話に陰りが見えてきた

INDA

INDAとSMINをポートフォリオに入れていた人にとっては2026年は苦しい展開が続いています

INDAは2026年YTDで約-11%、52週高値(2025年6月)の$56から$48台へ
SMINはインドの小型株ETFで、52週高値$78から$66台まで落ちています。高値から15〜20%の下落です。

ただ面白いのは、新興国全体が沈んでいるわけではないんですよね。同じ「新興国」でも数字はバラバラです。

主要指数の比較(2026年YTD)

INDA チャート

INDAはこれが示すように今年に入ってかなり軟調です。一方で先進国は調子がいいです

先進国から並べると日本が際立っていい状態です

指数2026 YTD
S&P500+9%
DAX(ドイツ)+3.5%
日経225+25%
FTSE100(英国)+6%

一方で韓国台湾はかなりバグった状態になっています。これはAI/半導体バブルをモロに受けている状態です

ETF2026 YTD
EWY(韓国)+90〜95%
EWT(台湾)+51%

で、新興国の本丸をみますと

ETF2026 YTD
EWZ(ブラジル)+13%
EWW(メキシコ)+11%
CSI300(中国)+28%
INDA(インド)-11.4%
SMIN(インド小型)-7%

なので、インド系がかなり他と比べてローパフォームしているのがわかります

中東エネルギー危機とルピーの話

SMIN チャート

インドが特にしんどい理由の一つが、エネルギーの問題です。

2026年3月、米・イスラエルによるイラン攻撃とホルムズ海峡の事実上の閉鎖で、ブレント原油が1週間以内に$80→$120まで上昇しました。
インドはエネルギー需要の88〜89%を原油輸入に頼っていて、原油が$10上がるだけで年間の輸入コストが$170〜180億増えます。

2025年4〜11月の貿易赤字はすでに$2,230億に達していて、中東情勢の悪化がそのまま赤字の拡大に直結しています。ルピーも2026年3月には1ドル=92ルピー台と過去最安値水準まで下落しインドのインド産原油バスケット価格は現在$109/バレル付近と、かなり高い水準です。

さらにインドはロシア産の安い原油を輸入し続けていたため、米国から追加関税25〜28%を課せられています。
ロシア産石油をやめれば市場価格で買わないといけない、続ければ米国に睨まれる、という板挟みです。

インド・パキスタン紛争(2025年5月のオペレーション・シンドゥール)の株価への直接的なインパクトは一時的でしたが、「不安定な地政学リスクを持つ地域」という印象を投資家に与えた点でジワジワ効いています。

AIが「人口ボーナス」の意味を変えている

2010年代に広く語られた「インドは若い人口が多いから成長する」という話は、AI・自動化の前では通用しにくくなってきています。
製造ラインのロボット化、コールセンターのAI代替、ITアウトソーシング(BPO)の単価低下が重なって、「安い労働力が強みの国」というポジションが揺らいでいます。

韓国・台湾が+50〜95%になっているのは人口ボーナスのせいではなく、AIのど真ん中にいるからです。
ブラジルが+16%なのは人口ではなく、中東情勢でコモディティ価格が上がっているからといえます。
今の相場で勝っているのは「AIのインフラを持つ国」か「エネルギー・資源を輸出できる国」で、インドはどちらでもない位置にいます。

インドでも「寝そべり族」が生まれている

かつて中国で「躺平(寝そべり族)」が社会現象になりましたが、インドでも似たような状況が出始めています。

インドの若年失業率(15〜29歳)は2026年3月時点で15.2%。問題はその中身で、失業している若者の3分の2が大卒以上です。2017年には46%だった失業者の大卒比率が、2023年には67%まで上昇していて、20〜29歳の大卒失業者は1,100万人(スウェーデンの総人口より多い)に上ります。
大卒者全体でも正規の給与職についているのはわずか6.7%です。

2024年にハリヤナ州で清掃員の求人に大卒・大学院卒が46,000人応募し、ラジャスタン州では18人の雑用職ポストに1万2,000人の専門職資格保持者が殺到したという話が象徴的ですね。
GDP成長率が7%でも「良い仕事」の絶対数が追いついていない構造的な問題です。AIと自動化がBPOや製造業の雇用を圧迫するなかで、この傾向はさらに強まりそうです。

他のBRICSも似たような状況

中国はCSI300が前年比+26%と回復基調ですが、不動産バブルの後遺症と人口減少が続いていて成長モデルの転換期にあります。今は「AI・EV・製造業の高度化」で勝負しているフェーズですね。

ブラジルはコモディティ輸出国なので中東不安定は逆に追い風で+16%。
ただし高インフレと政治的不安定さが根っこにあります。
ロシアは制裁で西側市場から切り離されており投資対象として論外。
南アフリカは慢性的な電力不足と高い失業率で、人口ボーナスを経済成長に変換できていない状況です。

どう見るか

インドの強みはまだあって、特に英語圏の人材、テック人材の厚みは本物です。
ただ今はエネルギー輸入コスト・地政学リスク・AIによる労働力優位の低下が重なっている最悪のタイミングで、株価はそれをそのまま映している感じです。

「新興国だから人口が多いから成長する」という物語は2026年には少し古くなっていて、どのセクターで何が強みかを見ないといけないですね。

INDA・SMINは引き続きウォッチしながら、もう少し様子を見ていきたいです。
新興国投資はかなり勉強と絞り込みをしながら進めていく必要がありそうです

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