デルタ航空はアメリカ最大の航空会社の一つです。
航空株の中でデルタはずっと別格扱いをされてきました。2025年に純利益$50億という航空会社としては異例の収益性を達成し、アナリスト26人中25人がBuyをつけるような企業でした
それほど評価の高い会社が、2026年春から燃料高という構造的な逆風に直面しています。
Deltaがなぜ他の航空会社と違うのか
同じ「飛行機を飛ばす会社」でも、Deltaと他のアメリカの航空会社、例えばAmerican Airlines(AAL)では事業の質がまったく違います。
プレミアム戦略の徹底
Deltaは2020年代に入ってから、一貫してプレミアム席・ビジネスクラスへのシフトを進めてきました。その結果、2025年Q4についにプレミアム収益がエコノミー収益を初めて上回りました。「安く大量に運ぶ」競争から抜け出し、単価の高い乗客を囲い込む戦略が完成しつつあります。
LCCの逆のような路線ですね。今後格差はますます開いていくので良い戦略だと思います。
AmExパートナーシップという「もうひとつのビジネス」
DeltaとAmerican Expressのコブランドカード(SkyMilesカード)は、2025年に$82億の収益をDeltaにもたらしています。2029年には$100億を目標とする契約になっており、利益率は80%超と推定されています。つまりDeltaは「飛行機を飛ばすビジネス」と「金融プラットフォームビジネス」の2本柱で稼いでいて、後者の利益だけで会社全体の純利益に近い水準があります。
Monroe Energy:精製所を持つ唯一の航空会社
Deltaは2012年にペンシルバニア州TrainerにあるMonroe Energy精製所を買収しました。1日あたり約20万バレルを処理でき、Deltaの国内燃料需要の約80%を自社調達できます。原油価格が急騰した2022年には、この精製所だけで$7.77億の営業利益を出しています。ライバルには絶対に真似できない構造的なヘッジです。
競合との規模比較
| 航空会社 | TTM売上 | 特徴 |
|---|---|---|
| Delta (DAL) | $629億 | プレミアム戦略・AmEx・Monroe精製所 |
| United (UAL) | $584億 | 容量拡大を最も積極的に推進 |
| American (AAL) | $543億 | 負債が重く収益性が課題 |
| Southwest (LUV) | $276億 | LCC・短距離特化 |
国内線市場シェアはDeltaとUnitedがともに約21%でトップを並走しています。
Q1 2026決算|売上は記録更新、でも燃料費があかん
2026年4月8日発表のQ1 2026(1〜3月期)決算です。
公式プレスリリースはこちら:Delta Air Lines Q1 2026 Financial Results
| 項目 | 結果 | 予想 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 調整後売上 | $14.2B✅ビート | $13.94B | +9.4% |
| GAAP売上 | $15.9B | — | — |
| 調整後EPS | $0.64❌ミス | $0.65 | +44% |
| GAAP純損益 | ▲$289M | — | — |
| プレミアム収益 | — | — | +14% |
| AmEx報酬収益 | $20億超 | — | +10% |
売上は過去最高更新。EPSも前年比+44%と大幅改善です。
ただしEPSはアナリスト予想を$0.01ミスしています。
なおGAAP純損失$289Mは非営業投資損失によるもので、事業の実態を測る指標ではありません。
原油高の影響|Deltaでさえ無傷でいられない
ここが今のDeltaの核心的な問題です。
Q1の燃料コストは調整後平均$2.62/ガロン(前年比+7%)。さらにQ2(4〜6月期)に向けては「前年比$20億超の燃料費増加」を見込むと発表しました。
なぜここまで上がったのかは言うまでもなくイラン情勢です
イランをめぐる地政学的緊張が高まった3月以降、ジェット燃料の価格はWTI原油以上の上昇率を記録しています。原油は産油国の供給調整で動きますが、ジェット燃料は精製マージンも乗るため、地政学リスクには特に過敏です。
Deltaはこれに対して2つの対策を取っています。ひとつはMonroe精製所からの約$3億のベネフィット(Q2ガイダンスに組み込み済み)、もうひとつは容量拡大の大幅縮小です。CEO Ed Bastianは「容量をフラットにする」と明言しており、成長より採算を優先する判断に切り替えています。
精製所というヘッジがあっても、$20億超の増加コストを完全に吸収はできない。それがデルタの現状です。もしWTI原油が$100/バレルに達した場合は現在のEPSガイダンスが消滅するという試算もあり、原油動向が株価に直結しやすい局面が続いています。
イラン戦争は航空業界にかなり痛手をつけていますね。
Q2ガイダンス
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 売上成長率 | 低二桁%(前年比) |
| 容量 | 前年比フラット |
| 営業利益率 | 6〜8% |
| EPS | $1.00〜$1.50 |
| 燃料単価 | 約$4.30/ガロン(先物カーブ基準) |
EPS$1.00〜$1.50という幅の広さが、燃料次第で結果が大きく変わることを正直に示しています。
ここからでは正直何も判断できないですね
株価と決算後の動き

2026年5月6日時点の株価は約$73。ATHは2026年2月6日の$75.15で、現在はATHから約3%下の水準です。52週の値幅は$44.78〜$76.39。
チャート的にはカップを形成し、ハンドルも付いた状態に見えるので新高値に行けるかもという感じです
Q1決算発表(4月8日)後は燃料ガイダンスへの懸念が先行し週間で約4%下落。
その後は持ち直し、現在はほぼATH近辺まで戻しています。
アナリスト26人中25人がBuy評価で、コンセンサス目標株価は$81.81(現在値から約12%上)。
評価は高いが原油次第という見方が続いています。
まとめ
DeltaはAmExパートナーシップ・プレミアム戦略・Monroe精製所という3つの武器を持つ、航空セクターで最も「飛行機以外でも稼げる会社」です。それでも燃料費という変数だけは完全にコントロールできません。
構造的な強みがあるからこそ原油高の局面でも他社より傷が浅いのは事実ですが、完全に無傷ではいられません。
原油価格が落ち着けばEPSは一気に改善するポテンシャルがあり、地政学リスクが解消されるタイミングを狙う銘柄として引き続き注目しています。
戦争が終わりに見えそうなニュースが出たら買うのか
それとも下落したときに仕込むか
ここのあたりはお好みですね
コロナ下ではなかなか株価が上がらずしんどい思いをしたので、素直に順張りでもいい気はします。



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