宇宙ビジネスというとロケットの打ち上げが注目されがちですが、BlackSkyはまったく違うアプローチです。「衛星で地球を撮って、AIで分析して、政府・軍に売る」ビジネスで、地味に見えて実は急速に契約を積み上げています。特に軍事産業での伸びがすごいですね。世の中は急激に再軍備の流れですので、このような技術がドローンとともに大きく注目されています。
同じ地球観測衛星の分野で比較されることが多いSpire Global(SPIR)との違いも含めて整理してみます。
Q1 2026 決算結果
2026年5月7日発表です。
| 指標 | 実績 | 予想 |
|---|---|---|
| 売上高 | $20.77M(ミス、▲26%) | $28.07M |
| EPS | -$0.82(ミス) | -$0.40 |
| 通年売上ガイダンス | $130〜150M(引き上げ) | — |
公式プレスリリース:BlackSky Reports First Quarter 2026 Results
売上・EPSともに予想を大きく下回りました。売上は前年Q1の$29.5Mからも減少しています。主因はミッションソリューションと先進技術プログラム部門の落ち込みで、スペースベースのインテリジェンス&AIサービスは前四半期比+14%と成長しているものの、全体を支えきれませんでした。
一方で通年ガイダンスは$130〜150Mに引き上げ(従来$120〜145M)。Q1の遅れを後半で取り返す見通しを示しており、新規契約$160M超の積み上げが裏付けになっています。
決算後の株価の動き

2026年5月8日時点の株価は$32.24。決算発表後に▲20.4%と急落しました。
- 52週高値:$42.75
- 52週安値:$9.88
Q1ミスの規模が想定以上だったことが嫌気されました。ガイダンスを引き上げても「今のミスの方が大きい」と判断されると株価はこうなります。現在は52週高値から約25%下の水準です。
何をやっている会社か
BlackSkyは低軌道に小型衛星のコンステレーションを持ち、地球上の特定地点を高頻度で撮影してデータを提供しています。
現行の主力はGen-3衛星で、解像度は35cm(Gen-2の50cmから向上)、同じ地点に最大1時間に1回再訪できます。これを自社開発のAIプラットフォーム「Spectra AI」と組み合わせ、港・空港・軍事施設・鉄道などの異変や活動パターンをリアルタイムで自動検知します。
売上の約半分が米国防関連で、サブスクリプション型の長期契約が中心です。一度契約すると継続的に収益が積み上がる構造で、フロー型ではなくストック型のビジネスといえます。
2027年以降には広域マルチスペクトル衛星の追加も計画しており、国規模のデジタルマッピングや3Dデジタルツインにも対応する予定です。
直近の主要契約|Q1だけで0M超を積み上げ
決算数字は弱かったですが、受注はむしろ加速しています。Q1の新規契約は$160M超で、主な案件は以下です。
AFRL(空軍研究所):$99MのIDIQ契約
次世代の大口径光学イメージングペイロードの開発契約で、2032年まで続く複数年案件です。
国際防衛省:$25Mの複数年サブスクリプション
非公開の国際防衛顧客との新規契約。Gen-3衛星への海外需要が広がっています。
大手防衛顧客:年間約$30Mのサブスクリプション
既存顧客との大型更新案件です。
また、Gen-3衛星が打ち上げ後1週間以内に商業運用を開始し、35cmの高解像度画像提供を開始しました。これが後半の売上回復の柱になる見込みです。
BlackSky vs Spire Global|宇宙データ企業の2タイプ
同じ「衛星データ企業」でも、BlackSkyとSpireはビジネスの性格がかなり異なります。
BlackSky(BKSY)
「見る」特化型。光学衛星で地球を撮影し、AIで分析したインテリジェンスを防衛・政府に売ります。顧客が限定的な分、契約単価が高く安定しています。
Spire Global(SPIR)
「計る」多角展開型。電波・気象・海事・農業・RF検出など、画像ではなくセンサーデータで地球を計測します。気象予報・航空管理・農業向け土壌水分センシングなど、民間向けにも幅広く展開しています。
売上
BlackSky(2025年実績):$106.65M
Spire(2026年ガイダンス):$75M〜$85M
株価(2026年5月8日時点)
BlackSky(BKSY):$32.24(52週:$9.88〜$42.75)
Spire(SPIR):$17台(52週:$6.60〜$23.59)
ひとつ知っておくべきことがあります。BKSY、SPIRともに1対8のリバーススプリット(株式の逆分割)を実施しています。8株を1株に統合したもので、NY証券取引所の上場維持基準である株価1ドル以上をクリアするために実施されました。つまり当時、株価が1ドルを割り込むほど下落していたということです。両者はその後事業の立て直しが進んでいますが、この背景は念頭に置いておく必要があります。
どちらが優れているということではなく、「防衛インテリジェンスに集中投資したいか」「民間含め幅広い宇宙データ市場に張りたいか」という投資の方向性の違いで選ぶ銘柄です。
まとめ
Q1は売上・EPSともにミスで、発表後に株価は20%超下落しました。ただ契約の積み上げは止まっておらず、通年ガイダンスも引き上げています。「Q1が弱かっただけで、年間では成長する」という見方と、「売上が前年を下回るのは構造問題では」という見方が今ぶつかっている状態です。
Gen-3衛星が動き始めた今後数四半期で、実際に売上が上向くかどうかが判断のポイントになりそうです。



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